こうあるべきを手放したら見えてくる世界

ハーバード大学の心理学者であり、「マインドフルネスの母」と呼ばれているエレン・ランガー博士のお話が好きです。
日本語版の本も多数出版されていますが、読んだことはありません。
Podcastでたまたまエレン博士のことを知って、それから色々と聞いています。

ChatGPTにマインドフルネスについて尋ねてみると、
・「マインドフルネスとは、今この瞬間の体験に、評価や判断を加えず、意図的に注意を向けること。」
・実践方法は、「瞑想と日常の気づき」
との返事をもらいました。

瞑想が代表的な方法とも言われているのですが、エレン博士によると、
・瞑想は、世界から自分を切り離して、1日2回、20分間静かに座るという「練習」で、よりマインドフルになるための手段。
・マインドフルネスは、「生き方」で、「不確かさの力(the power of uncertainty)」を深く、でも軽やかに理解することから生まれるとのこと。でした。

以下は、ランガー博士が出演されていたポッドキャストから抜粋しました。

「不確かさの中にある力を理解し、今この瞬間に気づいて生きること」。
私たちは幼いころから、「これは正しい」「こうあるべき」といった絶対的なルールを教え込まれてきました。
でも、世界は常に変化していて、視点が変われば真実も変わります。
私たちは本当には“知る”ことができない。その「わからなさ」を受け入れることが、マインドフルに生きる出発点なのです。

何年も前に私にとって非常に重要な出来事ありました。
ある男性に会い、「僕の馬を見ていてくれないか。馬にホットドッグを買ってきたいから」と頼んできました。
馬はホットドッグを食べませんよね。ニンジンを食べます。穀物を食べます。肉は食べません。
しかし彼はホットドッグを持って戻ってきて、馬がそれを食べたんです。
その時、私が知っていると思っていた全てのことが間違っている可能性があると気づきました。

そして科学についても考えました。
多くの人は誤解していますが、科学が示しているのは「確率」であって「絶対」ではないんです。
たとえば「馬は肉を食べない」という命題。
科学的に実験すれば、「この種類の馬」「この体重」「この時間に」「この量のエサを食べたあと」など、細かい条件のもとでは「たいていの馬は肉を食べない」という結果になるでしょう。
つまり「馬は肉を食べない」というのは、正確にはその複雑な条件を省略した「要約」なんです。

私たちの人生もそれと同じです。
子どもの頃に無意識に刷り込まれた考えが、大人になっても行動を支配している。
多くの人は、そういう無意識の影響に気づいていません。

50年近く研究してきて、私は確信しています。
ほとんどの人は、ほとんどの時間を「マインドレス(無意識)」に過ごしている。
しかも、その状態に気づいていないんです。
「そこにいない」けれど、「いないことに気づいていない」状態。
たとえば誰かに「馬は肉を食べる?」と聞かれたら、反射的に「いいえ、馬は肉を食べません」と答えるでしょう。
でもそれは、少なくともある文脈では「間違い」なんです。

では、マインドフルに生きるとはどういうことか?
それは、「今この瞬間に関わること」。
ロボットのように自動反応せず、感じ、観察し、気づいていること。
ワクワクしたり、穏やかであったり――そんな人間らしい感情を味わえているとき、私たちはすでにマインドフルな状態にあります。

マインドフルネスとは、自分の人生の主導権を取り戻すこと。
常識や他人に委ねてきた人生を、自分自身の手に取り戻す――
それこそが、「マインドフルに生きる」ということなのです。

いかがでしょうか?
ランガー博士は現在78歳ですが、全くストレスがないとおっしゃっていました。
それは物事は常に不確かであるということを、本当に理解しているからだそうです。
自分で自分のことを決めつけさえしなければ、私たちはきっとどんな事も可能なのだなと思いました。

私も本がスイスイ読めるようになることも、きっと。

2025-11-01 | Posted in BlogComments Closed 

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